メモリテクノロジの進化

過去数十年のコンピューティングにおけるさまざまな変化とともに、メモリテクノロジは前例のない早さで進化してきました。高速ページモード (FPM) から、最先端の第五世代ダブルデータレート「DDR5」SDRAM まで、これらの進歩を理解することが、ハイテク産業で先端に居続ける企業にとっては鍵となります。

弊社の e ブック、「メモリテクノロジの進化」は、DRAM テクノロジのシフト、種類、将来についてその深層を調べ、業界のエキスパートによる極めて貴重な知見をお届けします。ここでは、これからお話しするおおまかな内容を紹介します。

DRAM の道のり

最初は、1980 年代半ばの FPM DRAM から、より効率的な運用のための CPU クロックに合わせた 1990 年代の SDRAM に至る、道のりから入りましょう。その後、2000 年には、クロック信号の立ち上がりと立ち下がりの両エッジでデータを転送して、データ転送速度を倍増した DDR (ダブルデータレート) が開発されました。

DDR2 から DDR4 に至るその後の世代では、通信速度の増加とともに電力消費量が削減され、データの整合性が強化されました。最終的に、最も新しい進化である DDR5 では、通信速度が 4800 MT/秒から 8400 MT/秒を越える速さになり、エラー修正機能と電力管理機能が強化されました。

DRAM モジュールのタイプ

メモリについては、各種の DRAM モジュールとそれぞれの用途について知ることが、皆さんにとって何が必要であるかを理解する鍵になります:

• アンバッファードメモリ (UDIMM、CUDIMM / SODIMM、CSODIMM / CAMM2)： クライアントクラスのデスクトップとラップトップで一般的なアンバッファードメモリは、単純明快で、手頃な価格の、高速メモリです。
• レジスタードメモリ (RDIMM)： サーバーとハイパフォーマンスワークステーションで使用するレジスタードメモリはデータ信号を安定させるレジスタを備え、大容量メモリが必要な環境では不可欠です。
• ロードレデュースドメモリ (LRDIMM)：大容量メモリをインストールして高速に動作できるようメモリコントローラーの電気負荷を軽減します。ハイパフォーマンスな DDR3 サーバーや DDR4 サーバーに最適です。
• マルチプレクサランク DIMM (MRDIMM)： MRDIMM では、特殊なレジスタ (MRCD) とデータバッファ (MDB) を使用して従来の DDR5 レジスタード DIMM よりもデータレート (速度)、帯域幅、容量が向上し、ホストインターフェイスの 2 倍の速度で動作し、転送速度が実質的に 2 倍になります。
• 高帯域幅メモリ (HBM)： GPU や AI の用途向けに開発され、低消費電力でハイパフォーマンスと大容量を実現します

レイテンシと転送速度

メモリパフォーマンスの測定時にレイテンシと転送速度がどのような関連性を持っているかを理解することは大事です。レイテンシと転送速度は、メモリ業界標準化団体 (JEDEC) によって定義される 2 つの属性であり、パフォーマンスメトリックとして使用されます。

MT/秒 (1 秒あたりのメガトランスファ) で測定する転送速度とレイテンシを組み合わせた、コンポーネント間の一連のクロックタイミングは、メモリパフォーマンスの最も正確な測定方法です。この e ブックでは、レイテンシと転送速度の調和と、特定のニーズに応じてどのように正しいメモリタイプを選択するかを取り上げています。

互換性とアップグレード

メモリについて、ここでは、互換性の問題を回避して、次回のアップグレードやビルドの際に正しい選択をするための実用的なヒントをいくつか紹介します:

• マザーボードのサポート： どのようなメモリテクノロジやモジュールタイプを、マザーボードやシステムがサポートしているかを調べます (例、DDR4、DDR5、RDIMM、あるいは UDIMM)。
• 転送速度： 現在の DRAM の転送速度以上の転送速度でパフォーマンス問題を回避します。
• 容量： 同一のペアやグループにインストールするモジュールを選択して、マザーボードアーキテクチャーと突き合わせ、将来のメモリニーズに応えるため、必ず容量をオーバープロビジョニングしてください。
• DRAM モジュールの組み合わせ： 異なるタイプの DRAM (幅、密度、ブランド) をペア内やグループ内で混合させると安定化が損なわれます。
• エラー修正： クライアントやメインストリームワークステーションに ECC アンバッファードモジュールをインストールする場合は、マザーボードとプロセッサーモデルが CC 機能をサポートしていることを必ず確認してください。

代表例とワークロードの影響

各種のメモリタイプごとに、それらがどのようにシステムパフォーマンスに影響をもたらすかについては、さまざまな使用事例があります。しかし、コンシューマーデバイス全体としては、汎用目的のコンピューティング向けのアンバッファードメモリのシンプルさと転送速度が好まれます。サーバーとワークステーションでは、ECC クラスのレジスタードメモリ、負荷軽減メモリ、そしてマルチプレクスドメモリの安定性と信頼性によるメリットが重視されます。しかし、グラフィックスカードや AI アクセラレーターカードなどの使用といった特別な用途には、HBM のように、要求の厳しい用途を扱える設計のハイパフォーマンスメモリタイプが合っています。

DRAM の製造上の課題の克服

DRAM モジュール製造上の課題の確認と、Kingston がいかにそれらを克服したか。信頼性とパフォーマンスの確保には、高度なエンジニアリングと精密なインテグレーションが必要です。さまざまな条件下で行われる広範囲にわたるテストのおかげで、信頼できるメモリのみが市場にたどりつくことができます。

市場の動向と将来の発展

将来を形作る最新の技術的進歩に関する弊社の分析によって、時代を先取りします。画期的なメモリソリューションから革新的なモジュール設計に至るまで、これらの発展により、さまざまな分野と使用事例で、革命をもたらすパフォーマンスと効率性が約束されます:

• DDR6： 2027 年までの完成を目指して、より高いパフォーマンスと帯域幅の広いデータバスに専念します。
• CAMM2： モバイルシステムとスモールフォームファクターシステムのための支配的なモジュールソリューションになると予想されます。
• CXL メモリ： コンピュートエクスプレスリンク（CXL） は、さまざまなフォームファクターで DRAM (DDR4、DDR5、HBM) を活用してメモリ容量を増加し、サーバーに利用可能なメモリプールを拡張するメモリエキスパンダーです。
• クロックアンバッファード DIMM (CUDIMM)： UDIMM モジュールにクロックドライバーを組み込んで、高速なメモリ転送速度における安定性と信頼性を強化して、6400MT/秒以上で DDR5 パフォーマンスを向上させます。

まとめ

メモリテクノロジの進化と将来の理解は、今日のハイテクに駆り立てられている世界で競争力を維持するために不可欠です。この e ブックでは、 DRAM の進歩における包括的ガイドとともに、互換性とアップグレードに関する実用的アドバイス、将来の動向に関する洞察をお届けします。十分な情報に基づいた意思決定をし、メモリテクノロジの急速な進歩の先を行くために知識を身につけましょう。

e ブックをダウンロード